シングルマザーとして一人息子を育てています、まるです。
うちの子は小学校2年生の時に軽度ADHDという診断を受けました。
我が家は今も息子の発達状態と向き合う日々が続いていて、親子それぞれに少しずつ成長している最中。
そんな中、いつの間にか息子がサッカーを始めて1年がたっていました。
振り返ってみると本当に息子は成長したなと感じます。
そこで、ADHD児がチームスポーツであるサッカーを続けたことで起きた変化をまとめます。
ADHD児に不向きと言われるサッカーを習った子供の変化
サッカーをADHD児に習わせる利点
ADHD児がサッカーを習うときの親の注意点
目次
軽度ADHDの息子がサッカーを始めて1年がたちました
息子がサッカーを始めたのは小学校2年生の終わりごろでした。
今現在は習い始めてもうすぐ1年半というところ。
始めたころはどうなることかと思った
本当にどうなることかと・・・。
だって、ADHDの息子は周りと同じ行動をするのが本当に苦手。
「一列に並びましょう」とか、「集合しましょう」とか、チームスポーツってそうゆう「みんなで一緒に動くこと」が山ほどありますよね。
チームとしては何も難しいことは言っていないのに、息子はそれができない。
それがすごく心配だったし、それを見ている私がイライラしてしまうことが良くありました。
しかも息子は運動が苦手。
ボールを蹴るのもとってもゆっくり。
ボールを地面に置いて、ゆっくりと後ろに数歩下がって、深呼吸をして、よしっと気合を入れて・・・そして空振りする。そんな感じだったんですよ。
マンツーマンで習うならまだしも、少年サッカーでついて行けるの?と、私はずっとやきもきしていました。
サッカーを始めたころの記事はこちらです。チェックしてみてください。
続けることは財産!今の息子は1年前とは一味違う
そんな状態で始まったADHDの息子のサッカーですが、1年間続けたことでものすごい変化がありました。
下手は下手なりに(なんて言ってると息子にばれたら絶対むくれますが)、息子はすごく成長しました。
1年前の息子と比べて、本当に一皮むけたという感じ。
詳しく解説していきます。
サッカーを続けて息子は驚くべき進化を遂げました!
ADHDである息子が1年間サッカーを続けたことで起こった変化は本当に驚くべきものでした。
詳しく見ていきましょう。
試合でボールに触れるまでに進化しました!
まずは何よりサッカーそのものですが、劇的に上手になりました。
と言っても、あくまでも「息子なりに」です。
相変わらずチームの誰より下手ですよ。
でも、始めたころはドリブルは歩くよりも遅かったのが、今は小走りでできるようになりました。
パス練習も周りとちょっとテンポが合っていない気はしますがちゃんと子供たちの中でできるようになってきました。
PK練習では時にゴールを決めることができるようになりました!そしてそれに対して自分で無茶苦茶驚いている顔が面白いです。
練習試合で出場すると、ボールに触ることができる回数が少しずつ増えてきました。
いいパスができるかとか、ゴールに向かっていけているかとか、そこまではまだ難しいのですが息子としてはすごい成長です!
ちょっとだけ走るのが早くなりました
ピッチの中で一生懸命ボールを追いかけて走っているからか、ちょっとだけ走るのが早くなりました。
走るフォームもちょっと様になってきています。
ADHDの子って、運動が苦手な子が一定数いますよね。
うちの息子も壊滅的に運動ができません。
鉄棒とか縄跳びとか、何についても苦手です。
加えて頑張るのが苦手。自分のために練習するとか、彼にとっては苦痛極まりないようです。
だから「ただ走る」という練習はすごく苦手。
ボールを追いかけて走るのはその点ですごくいいカモフラージュになっているみたいです。
走る練習をしたわけじゃないけど、結果走る練習になっていたというのが息子にとっては良かったんです。
運動ができないのは変わらず。でも一つの自信を手に入れました
ADHDの息子がサッカーを続けたことで運動ができるようになりました!
なんてことは全くありません。
相変わらず運動全般苦手です。
多分それはずっと変わらないのかなって思う。
だけど、サッカーのユニフォームで外出したときに近所の人に「サッカーやってるの?かっこいいね!」と声をかけられたりしたことが息子の中ではすごく嬉しかったようですし、何より少しずつチームにも受け入れられて、自分でもボールに触れる回数が増えてきたことで確実に自信をつけています。
大変だったけど、サッカーを習わせて良かった。心からそう思っています。
母親である私もADHDの息子のサッカーのおかげで変化がありました!
変化があったのは息子本人だけではありません。
息子がADHDであるということに囚われていた私にも大きな変化がありました。
子どもたちに任せようといういい意味の諦め(笑)を習得した
よくも悪くも、母としてADHDを持っている息子のためにいろいろと先回りして考えてしまうところのあった私。
サッカーを始めたころも、自分の荷物が自分でまとめられないことや忘れ物ばかりのこと、みんなが集合しているのに息子一人だけが私の所に来てしまうこと・・・
何から何まですべてに神経をとがらせていたんです。だけど、よく観察しているとチームの子たちだってそれぞれに苦手があります。
片付けができない子もいるし、コーチのお話が耳に入っていなさそうな子もいる。
同じことを繰り返して怒られている子だっています。
端から見ていて、「あの子もたぶん何かしらの発達障害があるな」と思う子もいます。
どんな子も完璧な子はいなくて、逆にダメなところばかりの子もいなくて、どこかで「できない息子を守らなくては」と思い込んでいた私の心が少しずつ溶けてくるのを感じました。
子どもたちは子供たちで、色んな事を乗り越えていくんだな。
そう思ったら、私はもう少し下がったところから息子を応援しよう。
子どもたちにもう少し任せてみよう。
そう思うようになれました。
これは、まじめで堅物な私にとって大きな変化。
私自身が自分を思い込みから苦しめてしまっているということを自覚して、手放すということを学んだ1年です。一緒にいるだけが応援じゃない。一歩引いたらいいことがあった
そんな風にして一歩下がって息子のサッカーを応援するようになって、いいことがいくつもありました。
まずは先に言った通り、息子が子供たち同士のかかわりの中で少しずつチームに溶け込んできていること。
正直、いつもスタメンで試合に出場している子たちのグループには受け入れられたとはいいがたく、見ていてとても壁があります。
でも、最初は名前すら呼んでもらえなかった息子がそうした子たちと話すようになってきた。
仲良くしてくれる子も何人もいます。
私がいると息子は私の所に来てしまいますが、いなければ子供同士でちゃんとコミュニティができていく。当たり前かもしれないけど、私にとっては大きな発見だったし目からうろこでした。
私がいなくても他の大人が何人も見てくれている環境だからこそできたことでもあるので、チームに所属したこと自体がとてもありがたいことなんです。
そのことに気づけて良かったです。
また、私が少し引いてみようと考えたことで、自分の時間を確保できるようにもなりました。
送り迎えはするし放ったらかしというわけにはいかないけど、チームに常に帯同していると自分の時間や家事の時間が本当にとれなくなるんですよね。
シングルマザーの休みの時間の使い方って結構タイトだと思うので、ちょっと負担に感じていたんですよ。
ちょっとした時間でカフェに入ってブログを書いてまたチームの所に戻る。
そんな時間ができたのはとても嬉しいことでした。
ADHDの子供がサッカーを習うなら親としてここに気を付けるとうまくいく
こうして、ADHDの息子がサッカーを続けてきたことは我が家にとっていい変化をいくつももたらしてくれました。
もちろん、何もしないでいつの間にかそうなったのではない。私には私で沢山悩んだこともあるし、試行錯誤の繰り返しです。
それは今もそう。
その中で、良かったことをここでシェアしておきます。
褒める。そして叱る。みんなの前でも気にしないこと
ADHDの特性ゆえに、息子はチームのお荷物状態である感はいなめません。
見てると嬉しいことよりイライラすることの方が圧倒的に多い。
「みんな集合しているよ!早く行きなさい!」
「片付けしていないの息子だけだよ!ちゃんとやりなさい。」
などなど、小言を言おうと思えば永遠に言えてしまうってくらいです。
だから、ほんの小さな「できたこと」を見つけたら、それがどんなに他の子にとって当たり前のことであったとしても褒めるようにしています。
「今日の試合中、サイドステップできてたよ。」
「ボールに向かって足出せてたよ。」
「今日は早めに片付け始めたね。」
など、それって褒めるほどのこと?と思われそうなことも息子にとっては頑張ったこと。
男の子って容赦ないときがあるので、チームメイトに聞こえるところで息子にそのような誉め言葉をかけると、「そんなん当たり前の事じゃん!」なんて言う子もいます。
軽く「いいのよそれでも~」と流してしっかり息子を褒めること。それで息子の中のバランスが保たれるように感じます。
チームのために労力を惜しまない。親である自分自身がチームに溶け込んでいく
子供たちは時間をかけていつの間にか打ち解けていくものです。
特に男の子同士の関係性って女性である私には理解するのは難しいのかもしれない。どっしりと構えて、いい意味でちょっと鈍感になること。
それらがあったうえで、私自身のチームとの関わり方も実は結構大事ということを今とても感じています。
うちのチームは頻繁に練習試合をします。
その時、チームのバスなどはないので、車を持っている家庭が子供たちの送迎で車を出すことがよくあります。
というか、車を持っている家庭が限られるので、ほぼ毎回車出しをしています。
本音を言うと、車を出すとアウェイの会場まで一緒に行くことになるので、毎回だとちょっと負担なんですよね。
その上、他のドライバーはみんな子供たちのパパさんです。
ちょっと愚痴っちゃいましたが、そうして車を出しているとよそのお子さんを乗せることになるので、息子に対して壁のある子もまず私と打ち解けるんです。
そうすると、何となくその子の中で息子のこともちょっと受け入れやすくなるんでしょうね。
私としてはちょっと負担に感じている車だしではあるけど、結果息子のためになったので良かったと感じています。
それに、よそのご家庭の父兄からも「まるさんにはいつも車を出してもらっていて助かります!」と思ってもらえるので、私自身がチームの父兄と打ち解ける一因にもなりました。
他、父兄でリーダーや会計など、ちょっとしたPTAみたいな役割を担当するのですが、そちらも嫌がらずに取り組んでいます。
ぶっちゃけちゃえば負担です。仕事してないママにもっとやってほしい気持ちもある。
一度も顔を見せたことのないパパさんに至っては怒りすら感じたりします。
だけど、私がチームに対してちゃんと取り組んでいると息子にもいいことがあるって分かったから、忙しい中ではありますが頑張ります。
無駄に子供サゲをしない!!ADHDであることも言う必要なし
息子が試合でボールに絡めたときなど、他の父兄の皆さんも一緒に喜んでくれるようになりました。
それは息子自身が1年チームでサッカーを続けたからこそだし、私が父兄の方と仲良くできているからこそかなと感じます。
息子が下手なのはみんなが知っている事実。
だからわざわざ私が息子をサゲるような発言をする必要はないし、みんな分かったうえで息子を温かい目で見てくれています。だから、ことさらADHDであることを言う必要も感じないし、うちは今のところ言っていません。
軽度ADHDだからというのはもちろんあります。
他者の助けが必要な場合には言った方がいいでしょう。
でも息子の場合には言わなくてよかったと感じています。
できるならチーム選びは「できるだけゆるいチーム」に
今息子が所属しているチームは元々自分でリサーチして入会したのではなく、息子のお友達が所属しているからという安易な理由で決めたチームです。
偶然にもそのチームが割とゆるい運営をしていて、コーチもとても優しく接してくれる方ばかりですし、体育会系の要素が全く感じられないチームです。実はうちから近いいグラウンドで練習をしているチームは他にもあるんですが、そちらはコーチ陣がとても厳しくて、子供たちもすごく統率の取れた動きをしています。
プレー中もコーチ陣の怒号が飛び交い、いかにも部活(部活じゃないけど)って感じの雰囲気です。
そっちのチームに入っていたら1年続かなかったんじゃないかと思います。
ADHDである息子にとって今必要なのは厳しいコーチや特訓ではなく、「ぼくはサッカーを続けているんだ」という自信なのだと私は思っているので、今のチームに入ることができて本当に良かったと思うんです。
もしこれからADHDの子供のためにチームを探すという方は、できるだけ優しいチームで子供たちのことを叱りつけることをしないチームがおすすめです。参考の一つにしてもらえたら嬉しいです。
心配したし大変だったけど、ADHDでもサッカーにチャレンジして良かった
正直言ってこの一年、サッカーを始める前よりも私のストレスは増したように思います。
だけど、サッカーのおかげ、コーチやチームメイトの子供たちのおかげで息子の成長もすごく感じる。
1年前は「個人競技にした方がいいんじゃない?」なんて思っていた私。それは今も思っています。
でも、チームスポーツにチャレンジした、しかも1年続けたということは息子にとって自信につながっているし、自信が息子をまた成長させています。だから、私は言いたい。
ADHDの子供を持っていて、子どもがサッカーに興味を持っていると言い出して悩んでいるなら、いったんやらせてみるのがいいですよと。
親として負担が増えるし、私みたいな性格をしている人は今よりもっとイライラすることが増えるけど、でもうまくすると子供にとっても親にとってもすごくいいことがあります。
ダメだったら辞めたらいいし、不安に思っているだけよりも始めてみた方がずっといい。
良かったらご参考に。
追記:その後、息子はサッカーを辞めることになります
2024年2月追記
2年と少し続けたサッカーを、息子はやめました。
やってよかったという気持ちは変わらない。
でもやっぱり最後は大変だったし、親子にとっては試練もありました。
良かったらどなたかの参考になればと綴ってきた息子のサッカーもこれで完結です。