ADHD児の息子がサッカーを続けてきて得たものをシェアします

軽度ADHD児である息子がサッカーを始めて2年がたとうとしています。

最初は本当にどうなることかと思っていましたが、2年がたった今、息子本人も母である私も大分気持ちが変化しました。

節目の2年ということで、ここで一度まとめておこうと思います。

これからADHD児の我が子にサッカーをさせようか悩んでいる人に参考にしていただければ。

結論から言って、ADHDの息子がサッカーチームに入団したことは良かった!

入ってよかった
まず、結論としてADHD児の息子がサッカーを始めたことは本当に良かったです。

最初は不安だったしイライラしたし、毎週サッカーの日になるととってもストレスを溜めてしまっていました。

でも時間をかけて息子は本当に成長したし、私も親として一皮むけたと思うんです。自分で言うんですけどね(笑)

どんないいことがあったかをご紹介します。

運動が壊滅的にできない息子が毎週運動しているという事実

私が何よりうれしいのは、運動が苦手な息子が毎週末がっつり運動しているという事実。

サッカーだから走りまわって、毎週いい汗をかいています。

息子はかけっこも遅いし体の動かし方が下手なので、鉄棒もマット運動も跳び箱もとにかく全部が苦手。

苦手だからやりたがらないし、やらなくて済むようにごまかそうとばかりしていた息子。

でも、サッカーとなると動かないわけにいかないですよね。

遅いし下手なりにだけど一生懸命動いている息子を見るのは感動です。

体力がついて、マラソン大会で最後まで走りきれた!

マラソン大会で最後まで歩かなかった

毎週サッカーをしているから、息子なりにですが体力がつきました。

先日、ずっとコロナで開催がなかったスポーツ少年団のマラソン大会が今年3年ぶりに開催され、息子も参加。

実は当日まで文句ばかり言っていました。走るのが遅いからビリになったら嫌だなぁって。

私もたぶん息子はビリの方になるだろうなとは思っていましたが、「順位は関係ないよ。自分の精いっぱいの力を出せばそれでいいよ」と励ましていたんです。

当日、やっぱり息子はダントツのビリ。

でも、途中であきらめたりふてくされたりしないで、一生懸命走り切りました。

応援していた私もグッときて声に詰まるくらいで、心から成長を感じた瞬間でしたよ。

ゴール後、やっぱりビリだったことには悔しさがあったみたいですが精いっぱい走った息子はすごくカッコよく、スポーツをしたくないと泣いたころの息子とはひと味違うのだなと目頭が熱くなりました。

本人なりにサッカーが上手になった!

上達しました

サッカーは相変わらずへっぽこです(笑)

でも、息子なりに本当に強く上手になりました。

ドリブルも少しサマになってきましたし、試合でボールに触れる回数も少しずつ増えてきました。

試合の勝敗に関わるようなプレーはできていないけど、少しずつ上達してきたんだからこれからもまた少しずつ変わっていくのではないかと思います。

人より下手でも遅くても、努力が子供を裏切ることはないと学んだ

正直、息子がサッカーをしたいと言ってきた時には「やめておいた方が」と思った私です。

チームスポーツだから周りに迷惑をかけるのではないか? こんなに運動が苦手なのにサッカーだなんて練習についていけるの?

色んなネガティブ感情が頭をめぐって、息子がチャレンジしたいという前向きな気持ちをつぶしてしまいそうにもなりました。

実際チームに入ってからは大変だったしストレスも増えたしで「やっぱりやめておけば・・・」なんて思ったことも沢山。

でも、2年がたって息子は確実に成長しました。

サッカーも上達しているし、スポーツをすることに対してネガティブな気持ちを抱かなくなっている。

それは息子にとって大きな財産だし、努力すればできるようになるという大切な意識を息子に芽生えさせるとてもいい機会になったと思います。

親子で努力のすばらしさを学んだ2年間です。

ADHD児のサッカー継続にはちょっとだけコツがいる

と、このように、軽度ADHD児のうちの子はサッカーをやってきて本当に良かったです。

ただ、ここまでの道のりは山あり谷あり。

ADHD児がサッカーチームに所属して長く続けるにはコツというか、工夫がいるなとは思います。

実は以前は息子以外にもチームの中に「あの子は発達障害を持ってるな」と感じる子が所属していました。

息子とはちょっとタイプが違ったけど、その子もうちの子と同じでチームから浮いていてついつい目で追ってしまっていました。

その子はチームの輪の中になかなか入れなくて、いつも一人でいました。

うちの子と違って(ごめん息子)運動ができないとかではなく、人との距離感や関わり方に難しさを感じているように見えたなあ…

1年くらい一緒に頑張りましたが結局「みんなとうまくいかない」という悲しい理由で辞めてしまって、すごく心が痛かった…

その後その子は個人競技をやっていると聞いてとても安心したのでやめたことが悪いことではないけれど、やっぱり特性持ちの子がチームに溶け込むのはちょっと難しい場合があると実感しました。

我が家の場合ではあるけど、良かったら参考にしてみてください。

みんなと同じは望まない。うちの子だけの目標を目指す

同じを求めない
サッカーはチームスポーツで、みんなでゴールと勝利を目指して一致団結するスポーツだけど、軽度ADHD児の我が子はそれが難しかったです。

口では勝ちたいとかゴールしたいとか言いつつ、練習中も試合中も気がそぞろ。

ボールが来ても対応できないのに集中すらしていないわけだから、試合中のチームメイトの気持ちを思うと申し訳なくなってしまう私です。

始めたころはそれが私には見ていて本当にストレスで、やっぱりサッカーなんて息子には無理だったんじゃ…と何度思ったことか。

でも、1年を過ぎて息子なりの上達を感じるようになったころから、こんなふうに思えるようになってきました。

まる
みんなと同じじゃなくてもいい
息子なりの目標を目指せればそれでいいんだ

そんなこと、他の子たちに言ったら「いや、ちゃんとみんなと同じ目標を目指してもっと頑張れよ!」なんて言われてしまいそう。

だから心の中でこっそりとね。

みんなと同じようにできなくてもいいから、かつての息子本人より今の息子の方が進化していてくれたらそれでいいじゃないかって思うようになったんです。

例えば、試合に出られなくてもちゃんとベンチに座って応援できたとか、ゴールが決められなくてもパスが通ったとか。

そんな息子なりの課題だけに目を向けて、できていたら褒めるようにしたら息子も嬉しそうだし私のストレスも減りました。

ちょっとした上達に目を向ける

ちょっとした上達に目を向ける

息子なりの目標を目指して、本人なりに頑張っている息子。

周りの子に比べたら全然なのでしょうけど、親からしたら本当に目覚ましい進歩を遂げました。

最初はドリブルどころか地面に置いたボールを蹴るのも一苦労していたんですよ。

今は遅いけど走りながらでもボールを蹴っています。

これは息子にとってはすごいこと!!

みんなが見ている前でもちゃんと、「今日良かったよ!」って伝えるようにしています。

明らかに息子のモチベーションが変わります。(長持ちはしない)

帰りの準備がいつもより早くできたとか、その程度のことでいい。

こまめに褒めてやることがこんなにも大切だと、この2年で学びました。

だから親として、小さなことでも息子の上達を見逃さないようにしたいです。

結果実りがなくてもがっかりしない。勝手な期待をしない

すでに息子はたくさんの成長をサッカーから遂げていて、それらはすでに息子の大きな財産。

だから、これ以上の期待をするのはやめようと今は思っています。

諦めているということではありませんよ。

親として、ステレオタイプに囚われて「ここまでできなくちゃダメ!」という気持ちを捨てて、今現在の成長をもっと喜ぼうという気持ちにシフトしたんです。

「周りの子のように」は捨てる。

これがサッカーを続けるADHD児の親には一番大事なんだと思います。

だからもし今後、息子がサッカーを辞めたいと言った時、これまで成長してきたのだからと無理をさせるのではなく、「ここまでお疲れ様」と受け入れてやろうと思っています。

ADHD児のサッカー挑戦。これまでの軌跡をたどる

これまでの軌跡

今は過度に期待せず、ありのままの息子を応援しようと思えるようになった私。

そして最初は本当に大変だったと思うけど、持ち前のポジティブと鈍感力で乗り切ってきた息子。

これまでの軌跡をたどってみます。

これまでに綴ってきた記事のリンクもつけておくので良かったら時系列で追いかけてみてください。

本人が始めたいと言ったことがすべての始まり

息子が小学校2年生の3月頃、突然サッカーを習いたいと言い始めました。

聞くと、クライメイトに誘われたと。

カッコよくてスポーツができて憧れのクラスメイトの男の子が所属しているサッカーチームに誘われたことで、がぜんサッカーに興味を持った息子。

せっせとチームの練習体験に参加して加入を決めました。

でも、明らかに息子一人だけチームの子たちと動きが違います。

根本的な運動神経が違うと言ったら酷いですが、でも実際そう言わざるを得ないくらい違っていました。

準備体操で校庭1周走るだけでもみんなについていけないし、パス練習ではパスを足で止めることができません。

集合がかかっても息子一人聞こえていないし、チームの中で上手な子から煙たがられて、いわゆるハブにされていました。

自分で読み返してみても、応援したい気持ちとやきもきする気持ちで自分がブレブレなのがよくわかります(笑)

練習を見に行くたびにイライラしていた時期です。

始めてみたら待っていたのはストレスの嵐!

ストレス!ストレス!ストレス!

息子のチームはいわゆるスポーツ少年団的なチームで、子供たちのパパがコーチをしてくれているアットホームなチーム。

厳しくない代わりに細かなケアもないと言ったら失礼ですが、「うまくなるため」のチームではなく「楽しくサッカーする」ためのチームといった感じです。

そのようなチームであるということに助けられて、はた目にはすごく下手な上にやる気もなさそうに見える息子も何とか許されて続けることができていました。

ただ、見ている私の精神状態は本当に修羅場(泣)

チームの輪を乱してしまう息子のことを見るのが辛くて、練習に行きたくないなと思っていました。

ただ、練習試合が沢山あり、アウェイだと父兄が車出しをするんです。

車を提供できる家庭が少なくて、私はほぼ毎回車でチームに帯同していました。

だから見たくないのに見ちゃうんですよ!(笑)

それでイライラするし叱っちゃう。

すごく悪循環だった時期です。

やっぱり個人競技に変更させた方がいいんじゃないかってぐるぐる考え続けていました。

1年続けたら得るものが大きかった

母としては辛い時期を乗り越えて、いつの間にか1年サッカーを続けていた息子。

このころになるとほんの少し息子にも変化が見られて、チームでも辞める子がいたり新しく入る子がいたりで何となく息子もチームになじんできました。

私も頻繁に車出しをしたり、父兄の役回りで会計を引き受けたりする中でコーチやほかの父兄、子供たちとも打ち解けていたので息子のこともフォローしてもらいやすくなった気がします。

ちなみに、始めたころから今に至るまで息子がADHDだということはチームでは話していません。

最初は話しておこうかとも思っていましたが、そもそもコーチたちもクラブチームの指導者というわけではないし、息子の特性もあくまで軽度。グレーゾーンです。

グレーゾーンの難しさって、健常児の親御さんには伝わらなかったり、逆に発達児の親御さんには正しく認知してもらえなかったりすることもあり、話す相手には毎回すごく神経を使ってしまいます。

息子はチームでも「サッカーが下手で変わってるけど憎めないやつ」と受け入れられてきていたので、このままいくのがいいだろうとこのころやっと「息子のADHDはチームには打ち明けない」とはっきり決めることができたのを記憶しています。

親子ともに少しずつ自信をつけてきたのもこのころ。

私も程よく手を抜いて、車出しを断る勇気が持てるようになったのもこのころです。

数回に1回は「今回は難しい」と伝えるようになりました。

1年以上続けてやっと「うまくなりたい」と思い始めた息子

うまくなりたい

1年以上続けてからやっと息子は、「ぼくもゴールを決めたい」と言葉にするようになりました。

それまでは空想の世界(汗)で自分はサッカーがうまいと思い込んでいた節がありましたが、実際問題自分はチームの中でも下手なのだと認識したのだと思います。

厳しいかもしれないけど、自分の立ち位置を認識して初めて進歩できると私は思うんです。

だから、息子はこのころやっと上達のレーンに乗ったのかなと感じました。

「今日はいつもよりボールに触れた」とか、「相手からボールを奪えた」とか、自分の成果を言葉にするようになったのもこのころからです。

実際私が見ている時には相手からボールを奪えているシーンに遭遇したことはないので(笑)、実際問題どこまで本当かは知りませんが…(笑)

実は一度コーチから「君はサッカーには向いていない。お母さんと相談してご覧」という声をかけられていた息子。

息子はその言葉の真意がつかめなくて、そのまま私に伝えてきました。

それ、辞めろって事じゃん…orz

でも息子は辞めたがらず、どうにか続けていく中でもっとうまくなりたいという気持ちを持つようになり、少しずつ負けん気も育ってきたようです。

先日コーチが、「以前は無理なのではと思ったが、最近の息子さんはよく頑張っている。」と声をかけに来てくれました。

下手は下手なりに受け入れられたのかなと、内心ほっと胸をなでおろしました。

そして今、「続けていけそう」と思えるようになった

続けていけそう
多分、小学校を卒業するまではこのままサッカーを続けることができると思います。

息子が望めばの話ですが。

そう思えるまでに2年かかっているから時間かかりすぎかもしれない。

正直、口では続けていくとか大丈夫そうとか言っていたけど、本心は違いました。

いつもどこかで色んな人に遠慮して苦しくてイライラしていました。

もちろん今もそうなんだけど、たぶん自分の中の感情と折り合いをつけながら行けると思う。

息子も息子のペースで頑張るのでしょう(笑)

ADHD児の息子が続ける限り応援すると決めた

応援すると決めた

そう。

「サッカーを続けなくてはならない」とか、「みんなのように上手にならなくてはならない」という義務感を脱ぎ捨てて、息子が息子のペースで、息子が満足できる目標に向かって、息子がやりたいという限りは応援しようと決めました。

人と違ってもいいし、できなくてもやろうとしてれば褒めようと。

多分、息子はずっとマイペースで乱されずに続けてきていて、私だけが思い悩んでいたのでしょうね。

外野であれこれ考えたって仕方ないのにね。

この2年はおそらく、私が成長するために必要な時間だったのですよね。

息子をバックアップしてやらなくてはならないはずの私がこんなでは息子に申し訳がないですが、でもそうゆう人間なのだから仕方ない。

息子に恥じないようにこれからも軽度ADHD児の母として頑張っていきます。

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