離婚届の不受理届って何?

5年余り前のホワイトデーに調停離婚をした私。調停に至る前には協議離婚を目指していたのですが、クズ、ではなくゴミ、でもなく、元旦那が交渉に応じなかったり、嫌がらせのために売却を約束したはずの共有名義の家から立ち退かなかったりと、1年を費やしても協議離婚にこぎつけることができなかったので、調停の申し立てをしたんです。

今回は、その時に必要になった、離婚届の不受理届について。

不受理届。正式名称は 「離婚届不受理申出(離婚不受理届の提出)」の制度 。不受理届がどんなもので、どんな時に役に立つのか、私の体験を交えてご紹介します。

離婚届の不受理届とはどんなもの?

離婚届の不受理届って何?

まずは不受理届とはどんなものなのかを見ていきましょう。使うか使わないかにかかわらず、知っておけば安心材料の一つになりますから。

離婚届の不受理届で何ができるか?

離婚届の不受理届でできることは?

離婚届の不受理届でできることは、「勝手に離婚成立をさせないようにすること」

勝手に離婚成立することなんてあるの??と思ってしまいますが、お役所では提出された離婚届事態に不備がなければ受理しますし、提出が夫婦のどちらか一名であった場合でも、その離婚届が夫婦双方の合意に基づいて作成されたかどうかを調査することはありません。だから、その気になれば勝手に離婚届を提出して、離婚成立させてしまうなんてこともできてしまうわけです。

ただし、勝手に離婚届を提出してしまうことは犯罪です。「え?そんなに簡単に離婚ができるなら私も・・・」なんて考えてはいけません。罪に問われることになってしまいます。

脱線しましたが、離婚届の不受理届を提出しておくことで、あらかじめ「私はまだ離婚に同意していませんから、配偶者が離婚届を持ってきても受理しないでくださいね!」という意志を示したことになり、離婚届を勝手に提出されてしまう心配がなくなる、ということなんです。

離婚届の不受理届はどこに提出するのか?

離婚届の不受理届の提出先は、本籍を置いている市区町村のお役所。不受理届の提出に必要なものは、印鑑(シャチハタ不可)と本人確認書類(免許証やパスポート)だけと簡単なので、思い立ったらすぐに自分で届を出すことができますよ。

住民票と本籍地が離れている場合はちょっと注意が必要。 本籍地が遠くて、すぐには行けなさそう!というときは、お住いの管轄のお役所からの郵送で対応もしてくれますが、本籍地の役所に届くまでの数日間分、不受理届は効力を持ちません。すぐに提出しておかないとまずいかも!というときは、できるだけ本籍地の役所に直接提出するのがベターです。

不受理届は取り消すこともできる?

一度不受理届を提出しても、不受理申し出の取り下げ申請を提出することで、不受理届を取り下げることができるようになっています。いざ、離婚の条件で合意ができて、もう離婚してOKですよとなったら、出しておいた不受理届を取り下げればいいんです。

その時も提出先はお役所へ。

不受理届が必要になるのはどんなとき?

離婚届の不受理届で何ができるかは分かりました。では、どんな時に必要になるのでしょうか?

相手に一方的に離婚を言い渡されたとき

相手から一方的に離婚を言い渡された!

自分は離婚をしようなんて考えてもいなくて、配偶者から突然に離婚を言い渡された、などという晴天の霹靂のような出来事が起きたら、まずは不受理届は提出しておいた方がいいでしょう。

相手に強引に離婚の話を推し進められてしまっては、自分の言い分や主張、離婚の理由などを解明できずに困るようなこともあるかもしれません。不受理届で、落ち着いて話し合いをするための土壌を作るんです。

公的書類を作成してから離婚成立したいとき

双方で離婚することを認識していとしても、財産分与や養育費、離婚に至るまでの婚姻費用、時には慰謝料など、離婚のときって決めなくてはいけないことがたくさんありますよね。そうしたことを決めずに離婚に至ってしまうと、取り返しのつかないこともあります。

協議離婚なら公正証書を作成していないとき

協議離婚をするのならば、夫婦の取り決めを公正証書に書き起こしてそれぞれで保管するという人も多いかと思います。公正証書が作成されるまでは相手に勝手に離婚届を提出されないように不受理届を提出しておくのは、もしもの時の備えとして有効です。

調停離婚なら、調停成立や審判が下りる前

調停離婚なら余計に不受理届を出しておいた方がいい

もしもあなたが、調停離婚を目指しているというのなら、不受理届は更に出しておいた方がいいものになります。調停にまで離婚協議がもつれこんでいるということは、配偶者への信頼感はすでに失っていることが多いと思います。相手が、相手にだけ有利にことを勧めようとしないよう、備えとして不受理届を提出しておいて損はありません。

私も不受理届を提出していましたが、提出したきっかけは、調停の場に元夫が離婚届(双方サイン済み。私が別居を開始する際に突き付けたものを相手が保管していた)を持ってきて、「これを自分が提出してくるから、それで協議離婚だということにしてくれ」と言ってきたんです。

元夫としては、完全に自分が不利で、踏み倒そうとしていた私への返済金も、婚費も、養育費も、すべてが申立人である私の言う通りの審判が下ってしまうことを予期して、調停そのものを終わりにしようとしたんですね。すでに元夫に呆れかえっていた私の弁護士も、調停員も、裁判官すらもそんなことを良しとするわけもなく、何より私が合意するわけもなく、その元夫の申し出は却下になったわけですが、私は弁護士さんと相談してその日その足で役所に不受理届を提出しました。

不利になったモラ夫が、窮鼠猫を嚙むを実演することも否定できません。もしもの備えとして提出しておくと安心ですよ。

弁護士の契約が、「離婚成立」までの時も要注意

更に、協議離婚でも調停離婚でも、あなたが弁護士さんに依頼をしていて、その契約が「離婚成立まで」としている場合は要注意。弁護士契約って、弁護士さんによって本当にピンキリです。納得のいく離婚ができなくても、離婚自体は成立したのですから契約終了ですよと言われてしまうことがないとも限りません。

私の弁護士さんはとても仕事のできるタイプの方でしたが、本来家を売却してから離婚に至るはずが、元夫が住居に居座り売却できず、先に離婚を成立させようということになった際、「離婚が成立したので私の仕事はここまでです。」と、家の売却については知りませんと言い渡されてしまったんです。これには結構困りました。

だからもし、弁護士さんがヘボ(失礼!)だったりして、相手が勝手に離婚成立させてしまった場合に、「ともあれ離婚は成立したので私の仕事は終わりました」なんて言われないように、勝手に離婚させない備えをしておくことは安心材料として必要な場合があります。

勝手に離婚届を出されてしまった!もうどうにもできないの?

備えをする必要性に気づかなかったり、気づいていたけど間に合わなかったりして、配偶者に勝手に離婚届を提出されてしまった場合、もうどうにもならないのか?

これは、一応対処の方法はあります。あるんですが、これが途方もなく大変そうなんですよ。

受理された離婚届を撤回するには、調停申し立てが必要になる

離婚を撤回するには調停を申し立てる必要がある

一度役所に受理されてしまった離婚届を撤回するには、家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。調停の場で、双方が合意した離婚ではなかったことを双方が認め(って、ややこしいですね)て調停が成立すれば、離婚を白紙撤回することが可能です。

でも、勝手に離婚届を出すような輩が相手です。すんなりと離婚を白紙にすることに合意してくれるとは考えにくいですよね。考えるだけでいかにも大変そう・・・。

受理された離婚届が調停で撤回できなければ、裁判しかない

調停で離婚撤回を合意できない場合は、残る方法は裁判です。裁判となってしまうと、調停と違って自分一人で準備して戦うのはとっても難しいこと。法律の知識がしっかりある人でなければ、弁護士さんの力を借りることになるでしょうから、これまた結構な金額の金銭が必要になってしまうわけです。

モラハラ夫に勝手な条件で離婚成立されないために、不受理届を活用しよう

こうして見てみると、不受理届はノーリスクでできる備え。提出しておくに越したことはなさそうです。実際私も提出しておいて良かったなと思っています。

モラハラをしてくるような人は、恥ずかしげもなく手前勝手な意見を述べてきます。その思考回路で離婚届を勝手に提出してしまうことって、意外と想像できると思いませんか?一度離婚届が受理されてしまうと、それを撤回するのは本当に大変。泣き寝入りになることだってあるかもしれません。それよりは、ひと手間かけて不受理届を出しておいて安心できた方がいいと思いませんか?

どなたかの参考になると嬉しいです。

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