児童扶養手当、正しく理解している?

全国母子世帯等調査(厚生労働省)によると、平成28年の母子家庭の平均年間収入は243万円。全世帯平均所得や児童あり世帯の平均所得と比較して、大変低い水準にあります。 近年上昇傾向とは言っても、まだまだ母子家庭の暮らしは貧困と隣り合わせ。

でも、離婚て待ったなしですよね。せざるを得ないから離婚するのであって、離婚しないと危険だったり辛かったりするから別れるのであって、「今離婚すると貧困に苦しむから離婚を延期しよう」なんてことができる人はそうそう多くありません。特に、ことDVやモラハラといった、身に危険が及ぶ可能性のあるような状態では貧困だのなんだの言っていられない。とにかく別れよう!!というケースが多いのではないでしょうか。

今回は、シングルマザーがスムーズに生活を始めるために大きな力になってくれる、児童扶養手当について解説していきます。

児童扶養手当って何?

児童扶養手当って何?

児童扶養手当とは、「離婚によるひとり親世帯等、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進 に寄与するため、当該児童について手当を支給し、児童の福祉の増進を図る」制度。※文章は厚生労働省資料より抜粋(https://www.mhlw.go.jp/content/000619774.pdf)

ひとり親世帯でも子供たちが安定した生活を送れるように整備された、とてもありがたい手当なんです。

所得の低いシングルペアレントの救世主

児童扶養手当を受け取れるのは、ひとり親世帯の中でも特に所得の低い世帯に限られます。先に述べた通り、DVやモラハラの被害を受けて離婚に至るシングルマザーの中には、必要最低限の荷物だけで元夫から逃げるように離婚するようなケースもあります。生活を始めたとき、すぐに満足のいく収入が得られるシングルマザーなんてそうはいませんから、とってもありがたい制度なんです。

どのくらいの人が受給しているの?

どのくらいのシングルマザーが児童扶養手当を受給しているかというと、平成24年までは年々増加傾向で、ピーク時(平成27年)には1,083,317人となりましたが、以降減少に転じ、平成30年では939,262人となっています。

減少傾向ということは、所得制限を超えるシングルマザーが増えたということなのかな?だったらすごく嬉しいことですよね。でも、今もすごく多くのシンママが受給して生活の足しにしていることが分かります。

児童扶養手当には所得制限がある

児童扶養手当を受給するには、定められた所得制限よりも実際の所得が低いことが条件となります。所得制限額は下の通り。

扶養親族等の数 全部支給の所得制限限度額
一部支給の所得制限限度額
0人49万円 ( 122万円)192万円 (311.4万円)
1人87万円 ( 160万円)230万円 ( 365万円)
2人125万円 (215.7万円)268万円 (412.5万円)
3人163万円 ( 270万円)306万円 ( 460万円)
4人201万円 (324.3万円)344万円 (507.5万円)
5人239万円 (376.3万円)382万円 ( 555万円)

お子さんの人数に応じて所得制限額も、受給できる金額も変わるわけです。

児童扶養手当には全部支給と一部支給、支給停止と3種類ある

「児童扶養手当の額は、受給者の所得(収入から各種控除額を減じ、さらに、受給者やその児童が父又は母から養育費を受け取っている 場合にはその養育費の8割相当額を加えて算出)と扶養親族等の数を勘案して決定され、また、就労等により収入が増えるにつれて児童 扶養手当を加えた総収入が増えるよう定められている。」※厚生労働省資料から抜粋

表にあるように、児童扶養手当には全部支給と一部支給、そして支給停止の3種類があります。全部支給の所得制限よりも所得が低い世帯は、全部支給額の満額を受け取ることができます。全部支給の所得制限額よりも所得が高いけれども、一部支給の所得制限よりは低いという世帯の場合は、所得に応じて約9000円~42000円程度の間の金額を受給することになります。一部支給の所得制限額よりも所得の高い世帯は児童扶養手当の受給資格そのものを失いますので、支給停止となるんです。

児童扶養手当の受給額の計算方法を見てみよう

児童扶養手当計算方法

では、実際の児童扶養手当の計算式を見てみます。

本体額 = 43,160円 ―〔(受給資格者の所得額 ― 所得制限限度額(全部支給所得ベース))× 0.0230559 +10円〕

なんだ、0.0230559って・・・。ムズイ!と、感じるかもしれませんが、所得額さえ分かれば計算は電卓でちょちょいのちょーいですよ(^^)/

所得額は、源泉徴収書に記載されています。直近の源泉徴収書を確認してみてくださいね。

児童扶養手当には所得以外にも条件がある

「我が家は所得が低いから、児童扶養手当が受給できる!!」と思っても、ちょっと待った!実は児童扶養手当には所得以外にも受給するための条件があります。

実家に住んでいてももらえるの?

もしも今、実家に住んでいるなら要注意!児童扶養手当は「所得の低い世帯」のための制度です。実家に住んでいて、ご両親が現役バリバリでお仕事を頑張っている場合、一番所得の高い人の所得が、児童扶養手当の計算に用いられます。だから、親御さんの収入がそこそこあったりすると、暮らしが困窮するとは言えないために児童扶養手当を受給できないんです。

では、実家に住んでいても、生活費などはすべて別で生活している場合はどうでしょうか?

その場合、完全に家計が別であることを証明できないといけないそうです。例えば、同じ家屋には住んでいるけれども、二世帯住宅になっていて、玄関も別!みたいなとき。・・・って、絶対ないことはないでしょうけれども、それってかなりのレアケースだと思いませんか?実家に住んで、両親がまだ現役で仕事をしていて、それなりの収入があるということは、生活が困窮しているとは言えないということなんですよね。もちろん、表向きはそうですよね。表向きは・・・。

児童扶養手当はずっともらえるわけではない

また、児童扶養手当は一度受給できることになっても、ずっとずっともらえるというわけではありません。

受給開始後も、毎年必ず「現況届」というものを提出します。1年間の年収が増えて、受給金額に変更がないかなどを、年に一度調べてその年の受給金額を決めるんです。

実は受給5年で一区切りになることがある

実は児童扶養手当が打ち切りになることがある

それだけではありません。実は受給し続けて5年がたつと、「児童扶養手当の受給期間が5年を超える場合等の一部支給停止」なる、恐ろし気な連絡が来るそうです。これは、最初に役所で児童扶養手当受給を申請するときにも説明を受けるはずです。注意深く聞くようにしましょう。テストに出るんで、本当に。

5年間ずっと受給を続けましたね。ここでお終いにしますよ。ということです。ですが、対象者であっても、下の条件を満たす人は、別途申請をすることで受給を継続することが可能な場合があります。

  • 就業している。
  • 求職活動等自立を図るための活動をしている。
  • 身体上又は精神上の障害がある。
  • 負傷又は疾病等により就業することが困難である。
  • 受給資格者が監護する児童又は親族が障害、負傷、疾病、要介護状態等にあり、受給資格者が介護する必要があるため、就業することが困難である。

私も最初の申請の時に結構強めに役所の人に言われました。たとえ、受給停止のお知らせが届いたとしても、絶対にあきらめてはいけない。必ず役所に連絡をして、自分が受給継続可能かどうかを確認すべしと。

なんでも、条件1つ目の「就業している」をクリアする人がほとんどだろうと思いますが、問い合わせをせずに諦めてしまって受給を打ち切られるケースが往々にしてあるんだそうなんです。何年たとうが、このお知らせが来たら即刻役所に問い合わせをするということを忘れてはいけません。

児童扶養手当は今も改定が進んでいる

そんな児童扶養手当、長い歴史の中で改定を繰り返してきました。実は最初は父子家庭は受給資格を持っていなかったんですよ。少しずつ、困っている世帯に寄り添うように変わってきたんです。

その変化はつい最近も。

最近の改定その①全部支給の所得制限額が変わった

平成30年12月支給分から、全部支給の所得制限がそれまでの130万円から160万円に引き上げになりました。

それまでは所得が160万円の人は一部支給で、月額およそ36860円を受給できる計算だったものが、全部支給に変更となり、42500円を受給できるようなりました。

そんなもんかと侮るなかれ。月額5640円の増額って、助かりますから、本当に!

最近の改定その②支給のタイミングが変わった

平成31年の4月支給から、児童扶養手当の支給のタイミングが年3回(4月、8月、12月)から年6回(1月、 3月、5月、7月、9月、11月)に見直しになりました。

これ、よくぞやってくれましたよ~~。

年3回って、苦しいときに絶妙に支給が間に合わなかったりして、しんどいなって思っていましたよ!厚生労働省さん!!本当に英断ありがとうございます!!

まとめ

今回は、シングルマザーになるなら必ず確認しておきたい児童扶養手当についてまとめてみました。

私自身も数年児童扶養手当のお世話になりました。年々受給額が減って、昨年からは支給停止に。収入が少なくてしんどかった時期に、本当に助かりました。

シングルマザーをしているといろいろと大変なことも多いです。でも、児童扶養手当のように、助けてくれる制度もある。応援されているなあと感じると、すごくパワーが湧いてきますよね。

受給の条件を確認して、もらえるものはしっかりもらって、明日も頑張れ!シングルマザー!

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