2月に左の乳首から出血を発見してから検査を重ねること数回。2週間前に受けた組織検査の結果を聞きに行ってきましたのでレポートします。
目次
検査の結果、乳がんであることが分かりました
2020年4月25日(土)、新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言と、外出自粛要請の影響で、東京都内に限らず日本全国的におうちで過ごすことが推奨される最中、今回も大学病院へ。大学病院は、もちろん通常よりは人が少ないのでしょうが、それにしたって混んでいる。それだけ、待ったなしで治療している人が多いということなのでしょう。
病院の入り口にはサーモカメラが設置されていて、発熱状態の人が分かるようになっていました。不謹慎ではありますが初めて見たので物珍しく、思わず二度見。そこに立つだけで、体温が可視化されるハイテク機械にひっそり興奮しました。
今回は午前中に予約を入れておいたのでいつもよりは待たずに呼ばれることを期待したのですが、それは無理だったようです。残念。それでも午後よりは短い1時間半待ちの後、診察室に呼ばれました。
診察室に入ると、医師が神妙な顔で話し始めました。こんなシーンは慣れっこなんだろうと思わせせるベテラン(に見える年齢)の医師ですが、「では、今日は検査の結果ですね。」と言った後、モニターを見つめて言葉に窮している。
「そんなん絶対癌ですよね ( ´ω` ):」 先生、下手くそですか・・・!
私は0期の乳がん患者です
医師から伝えられた検査結果は、0期の乳がん。非浸潤性の乳がんです。ずっとどっちつかずで検査を繰り返しましたので、ある意味スッキリしました。立場がはっきりして、「癌なんだから治療したほうがいいのよね」と、方向性が決められるようになりましたから。
診断名は、乳管内癌
この、0期の非浸潤性の乳がんを、乳管内癌というそうです。乳管の中でだけ癌細胞が存在している状態。このタイミングで見つかることの利点は、何よりも「命を脅かすような」癌ではないことだと、医師が繰り返し説明してくれました。
よく聞く抗がん剤などの治療は私の段階では必要なく、癌そのものを取り去ってしまえば完治したといえるのだと。
前回までの投稿の繰り返しになりますが、このタイミングで乳首から出血して診療を受けることができたことは本当にラッキーだったんです。年に一度検診を受けることがいかに大切なのか、ラッキーだったと思えば思うほど深く感じます。
今後の治療について相談しました
さて、癌ですよってことになりましたので、ここからは治療について具体的に話を進めていくことになりました。私はてっきり手術の日程を詰めていくものと思っていたのですが、医師からの提案は違っていました。
先生からの提案は、ホルモン治療
医師からの提案はこうでした。
「今はご存じの通り、コロナウィルスのせいで大変な時期です。あなたはとてもホルモン治療が有効な人のようなので、すぐに手術をするのではなく、まずホルモン治療をして、癌を小さくしてから手術するのはどうでしょうか?」
思ってもいなかった提案でした。この場合のホルモン治療がどんなものなのかも想像がつかないし、片っ端から質問させてもらいました。
ホルモン治療はお薬を使う
ホルモン治療は、注射と服薬の2種類。注射のお薬の名前は「リュープリン」、飲むほうのお薬の名前は「タモキシフェン」というお薬で、別の製薬会社のお薬の「フェアストン」というお薬と同じ成分のものです。
医師の言った、「あなたはホルモン治療が有効な人」という言葉のわけは、次のおような結果が出ていたから。
ER(+;100%, 強),PgR(+; 90%, 強)
なんのこっちゃ全く分かりませんが、ERというのは「女性ホルモンレセプター」、PgRは「 プロゲステロンレセプター」といって、それぞれ女性ホルモンのことを指していて、私の中の癌細胞は、それぞれの女性ホルモンを100%と90%餌にしている。ということなんです。
だから、注射のお薬で月経を止めてしまって、飲むお薬で女性ホルモンである「エストロゲン」の働きを抑えてあげることで、癌の成長を防ぐことができますよ。ということだそうです。成長を抑えるだけではなくて、癌を小さくすることが期待できるので、手術をするということになったとき、部分切除だけで乳房を温存することが見込めるのもこの治療の利点です。
薬には副作用がある
お薬で治療しましょうと言われて気になるのは、薬の副作用。医師が今回提案してくれたお薬にも当然副作用があります。それは、女性ホルモンの働きを止めるためにおこる、更年期障害のような症状。体が火照ったり汗ばんだり、イライラしたり、不眠になったり。人によって出たりでなかったりですが、それらが起こることが想定されます。ということでした。
なるほど。
すぐに手術をすることも可能ではある
選択肢の一つとして、すぐに手術を行うこともちゃんと検討しておきたい。それも聞いてみたところ、「もちろんそれも可能です。」という返答。この場合、どの程度乳房を失うことになるのか教えてもらいました。
私の場合、しこりそのものはごく小さくて、直径3mm程度。だけれども、拡張が認められる乳管は少し範囲が大きくて、手術して取り除くのであれば該当の乳腺をすべて取り除くことになる。なので、乳房の形は大きく変わります。ということでした。全摘出をして乳房を再建することもありますが、今回の場合は今のところ部分摘出と考えるのが妥当です。とのこと。
乳房をすべて失うことはなさそうだと思っていたので、全摘出も選択肢の一つと思うとドキッとします。でも、そうなのよね。今後、それだって選択肢の一つになることをちゃんと認識しよう。
治療方針、決めました
気のすむまで質問させてもらい、自分の要望も伝えました。私の希望はこうです。
「私はシングルマザーです。毎日仕事ができること、子供の預け先がないので、極力家を空けずにできること。それを基準に考えられる方法が希望です。」
医師はそれを聞いて、今の治療のベストを提案してくれました。
まずは飲み薬だけで始めることにしました
医師からの最終的な提案は、まずは飲み薬だけでホルモン治療を始めてみることでした。私としては、副作用には気合で臨む(得意の精神論)つもりでしたので、注射もどうぞ!という気持ちになっていましたが、飲み薬だけでも効果が望めること、注射は途中からでも始められることから、副作用に気を配りながら治療できる方法がベストではないかと考えてくれたようです。
また、注射は一回打つだけで半年間生理を止めることができますが、これも期間を短く設定することもできるということでしたので、1か月お薬を飲んで、再度診療してもらって注射をするかどうか決めましょう。そのときに、注射の有効期間も決めましょう。ということになりました。
ホルモン治療で癌が小さくなれば、手術ももっと小範囲の切除で済むことになる。手術で取り除く部分が小さいほうが体への負担も少ないだろうから、生活への影響も小さいだろうと思って決めました。
自宅近くの乳腺外科も利用させてもらって治療することに
私の希望を踏まえて、医師は一番最初に私が受診した自宅近くの乳腺外科でも治療が進められるように紹介状を書いてくれると申し出てくれました。私としても、コロナウィルスの影響はしばらく続くと考えていますので嬉しい提案です。
大きな病院の先生なのに、親身に考えてくれて、分からんちんな私の質問にも付き合ってくれて、そりゃあこの先生は患者さんから信頼もされるし、人気があるよね。と実感します。だから待ち時間が長いんですね。仕方ないわ、これは。
申し出はありがたく受けましたが、注射を開始するかどうかの判断と、手術時期を決める判断は先生にお願いしたいです。ということを伝えて、大学病院と近所の乳腺外科をハイブリッド方式で使っていくことに話がまとまりました。
早速、診察翌日分からお薬を開始します。お薬は朝食後に1日1錠。まずは1か月分処方してもらいました。これからいよいよ治療開始。頑張るぞ。
まとめ
今回はついに出た検査結果と乳がんの告知、今後の治療方針についてレポートしました。癌治療といえば抗がん剤と手術オンリーと思っていましたから、自分の治療がホルモン治療から開始するなんてびっくりです。
今の気持ちは?
もちろん、癌なんてならないほうがいい。でも、私の場合は乳首からの出血がきっかけですから、何もありませんでしたという結論に達するわけはないと思っていました。だから、落ち着くところにやっと落ち着いたなという気持ちで、落ち込んだり、悲観したりはしていなくて、むしろ少しホッとしています。
私たちシングルマザーにとって、自分の体の不調はそのまま生活に反映されてしまいますよね。今回は幸運なことに、生活にはほぼ影響を与えずに治療を行うことができそう。でも、もし「今日から入院してください」なんてことになったら?仕事は?収入は?子供の学校は?ご飯は?何もかもが一気に崩れてしまう。
それを防ぐためには、結局検診を受けて、悪いところは早期に見つけて治療していくことしかないんですよね。だから、私たちこそ検診を受けるべき。仕事を休んでも受けるべき。元気にいるべき。
どうか、「私は大丈夫じゃないかな」とか、「そんな余裕がないから」と、検診を受けていない方がいるなら、一人でもいいのでこれを読んで検診に行ってくれたらいいなと思います。