母一人子一人で頑張る母子家庭の我が家。一人息子は現在小学校2年生です。先日その息子がADHDの診断を受け、自閉症の合併症状がないかなど一連の検査を受けました。その息子のとあるチャレンジについてご紹介します。
目次
先日軽度のADHDと診断された息子について
私の息子は先日、軽度のADHD、自閉症症状の合併はなしと診断を受けました。まずはその息子の特徴からお話します。
ADHDの特徴 息子の場合
息子は、目から入ってきた情報を即座に処理するのが得意な傾向にあります。親の私も驚くようなこともあって、例えば、道を覚えるのが上手。車で走っていると、「お母さん、この道通ったことあるね!」と言うことも多くて、「え?一度しか通ったことないのによく分かったね!」ということもしばしば。
一方で、耳からの情報は処理するのが遅くなりがち。呼びかけが耳に入っていなかったり、生返事をするばかりで、言われたことが理解できていなかったりということがとっても多い。
ADHDの特徴として、そのような五感を使う能力の中に差が生じることが多いそうなのですが、息子もその傾向にあるんです。
また、忘れ物の多さと多動性、衝動性も「病的」とまでは言えませんが、その傾向が強い。そんな状態です。
特に忘れ物は困っていて、毎日のように学校に持っていくものを忘れてしまったり、学校から持って帰ってくるのを忘れてしまったり。
診断をもらう前と後とで変わったこと
そんな息子の様子に、ずっと私はやきもきしてきたんです。忘れ物をしても我関せずな息子の態度に腹も立てたし、息子の持つ特性に苦しんでいるのはむしろ私なのでは?と思うほど。
でも、息子自身もそんな自分に苛立ったり、恥ずかしさを感じたりと、実は表面に出ていないだけで色々な葛藤があったようなんです。
そんな私達親子の気の持ちようが、明らかに診断を受けた後で変化したように思います。どうしてかな?言い方は悪いですが、息子の特性を「仕方がないことなんだ」とある意味諦めることができたからかもしれません。
何よりも私の気の持ちようが変わったように思う
特に、私の気持ちの変化は我が家にとって大きな変化でした。
これまでは、息子が変わったことをするたび、忘れ物をしたり多動性を見せたり衝動性が顔をのぞかせるたびに、「息子が変わっていることで、苦労をしないようにしてやらなくては」という、使命感にも似た気持ちを感じていたんです。それが苦しかった。息子がよその人に「変わった子」という目で見られていることが苦しかった。悲しかった。「変わった子」であることを悪いことのように感じていたんです。
でも、診断をもらってからはその考え方を変えていいんだと思えるようになった。息子には特性があって、それは善悪の対象ではない。
「変な子」と思われないようにしてやらなくては。ではなく、「変な子」のままでもいいから幸せに。そう思えるようになりました。
息子のチャレンジを紹介します
ADHDと明確に分かったことで、我が家の過ごし方はほんの少し変わりました。学童から一緒に家に帰る道すがらに、帰ったらすることを一緒に話して決めるようになりました。息子は、前もって何をするのか?という情報があればそれに沿って動こうと思うことができます。だから、次にするべきことを、一緒に確認するようにしたんです。
その中で、せっかくすることを確認するならば、ということで、息子がとあるチャレンジを思いついたんです。
チャレンジ名は、「ニコニコチャレンジ」!
その名も、「ニコニコチャレンジ」!
家に帰るときのお約束(そのあとにすることの確認)をちゃんとこなせたら、ニコニコマークを一つもらえるというルール。1か月の中でニコニコマークが20個たまったらご褒美を下さい!というゲーム感覚のチャレンジです。
息子がニコニコチャレンジで見せた初めての顔とは?
その日その日で私が息子に課す課題は、とっても簡単なもの。普通に毎日しなくてはならない物ばかりです。例えば、手洗いうがいを済ませたらすぐに宿題をするとか。21:45に歯磨きをするとか。いつも通りの暮らしをするために必要なことをお約束にするだけ。それでも息子にとってはそれはすごく頑張って達成できる、大変なことなんですよね。
これまでは息子は、そういったご褒美付きのチャレンジをしたとしても、長続きしなくて大体2日で嫌になってしまうことが多かったように思います。
ところが今回は違ったんです。3日目も4日目も、気持ちを切らさずに「お母さん、今日のお約束は何?」と聞いてくる。その日その日でお約束を都度したのも良かったのかもしれませんが、息子が継続して何かを頑張るところを始めてみた私は、それだけでもう感動!チャレンジはすでに成功と言ってもいいと思っていました。
頑張りをお金で釣っているのでは?
できて当然のことを言っているだけなのに、それでご褒美とは・・・?ましてやお小遣いなんて、お金で子供を釣っているみたい。そんな風に思われるかもしれません。私としても当初は「それでいいの?」という気持ちもちょっとだけありました。
ですが、特性のためにお小遣いを渡すと何をしでかすか分からない息子でしたので、月々のお小遣いは渡していなかったということもあり、その代わりと思ってOKしました。
息子がチャレンジ達成でもらったご褒美は?
チャレンジは、後半でかなりのブレーキをかけつつ、どうにか達成しました。ブレーキの原因は、お約束事のレベルが上がったから。チャレンジ後半、忘れ物をしないことをお約束にしてみたんです。テキメンにブレーキがかかってしまいました。
ご褒美は自分で選んだ物。それに向かって頑張った
それでも何とか最後まで気持ちを切らさずに頑張った息子。チャレンジを達成して欲しがったご褒美はというと、かっこいいコマが折れる折り紙。
チャレンジ中に一緒に入った雑貨屋さんで、その折り紙を見つけて欲しがった息子。それをご褒美にしようと相談して決めてからは、明確に「折り紙のために頑張る!」と目標ができて、モチベーションにつながったようでした。
私も、喜ぶ息子が見られて本当に良かったな。
ニコニコチャレンジ、これからはどうなる?
おまけのニコニコマークの日があったり、ニコニコマークが貰えない日があったりしつつ、何とか最後まで頑張った息子は、このニコニコチャレンジをまだまだ続けたいと張り切っています。
息子は続けると張り切っている
これまで頑張るということがどうしても続かなくて、達成感を味わうということに飢えていた息子ですから、今回は本当にいい機会になったんです。
もちろん、本人が頑張るというならば続けてやりたいと思っています。
実は私は知っている。息子がズルしていたことを
でも、実は私は知っています。お約束が忘れ物をしないことになってから、息子が都合の悪い宿題のプリントや、学校からのお手紙を自分の部屋に隠すことで、ズルしてニコニコマークをもらっていたことを。
私としても、今回はどうにか息子に達成感を味わってほしかったので、多少のことには目を瞑って、気づかないふりをしようと決めていました。
息子のチャレンジ達成の裏には、実はそのような反則のズルと、私の黙認が隠されていたわけです。
ここだけの話、私は終わりや休憩でもいいと思っている
息子は頑張ったり努力したりすることが本当に苦手。鉄棒の逆上がりや、掛け算九九など、頑張って練習するようなことはのらりくらりと逃げようとします。これも、ADHDの子にはよく見られるそうで、筋力が十分でないから運動も苦手だし、勉強のように一見体力の必要性を感じないようなことでも、まっすぐに座っていることが苦手だから、じっくりと取り組まなくてはいけないような勉強は億劫に感じられてしまうようなんです。
その息子が今回は本人なりによく頑張りました。正直言って、このまま続けたらたぶん次はうまくいかない。慣れて、だらけてしまってニコニコマークが貰えない日が続いて嫌になってしまう。
それよりはいったん休憩にして、もう少しだけ達成の余韻に浸っていてもいいと思うし、続けていくならば私の方でまた簡単に達成できる約束からスタートしてやる必要があると思います。
大切なことは息子が幸福感を得ること
ADHDの診断を受け、今回のチャレンジに取り組む息子を見ていて、本当に必要なことは、息子が毎日を幸せに生きるということなのだと感じます。
これまではもっと長期的に見て、将来的に息子が生き辛さを感じないように、今のうちに彼の特徴をいわば「治してやりたい」というような気持がありました。
だけど、ADHDの診断をもらって、もうこれは息子の一生持って生きる特徴なのだと腹落ちしてからは、「将来は分からないけれど、今この瞬間、息子が笑っているように」と意識が変わったんです。そしたら誰よりも私が一番笑顔になりました。母親が笑っていることは、子供にとって何よりの安心感です。
今回のチャレンジを続けるのかどうかも、息子が今日笑顔でいられるかを念頭に考えていこうと思います。
おまけ。このお話を、音声でも配信しています。
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